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処遇改善加算の算定要件とは
平成24年度から「処遇改善加算」が創設されました。障害福祉サービス事業所で勤務する一定の職員の賃金改善等のためです。
この処遇改善加算は、福祉職員の資質向上や雇用管理の改善を推進し、福祉職員がキャリア形成を行うことができるよう、労働環境を整備することを目的としています。
要約すると、従業員の賃金等待遇を改善すれば上乗せして介護報酬を与えます、という制度です。
しかし、処遇改善加算を得るにはそれぞれの加算要件を満たして届出を行う必要があります。
処遇改善加算の種類は
処遇改善加算は平成29年4月から改正され、以下の5区分に分かれました。
処遇改善加算の種類
種類 | 要件 |
加算Ⅰ | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと、職場環境等要件全てを満たすこと |
加算Ⅱ | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと、職場環境等要件を満たすこと |
加算Ⅲ | キャリアパス要件ⅠまたはⅡと、職場環境等要件を満たすこと |
加算Ⅳ | キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、または職場環境等要件を満たすこと |
加算Ⅴ | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、職場環境等要件をいずれも満たさない |
キャリアパス要件・職場環境等要件とは?
キャリアパス要件には、以下の3種類の要件があります。
キャリアパス要件
種類 | 要件 |
Ⅰ | 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること |
Ⅱ | 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること |
Ⅲ | 経験・資格等に応じて昇給する仕組み、または、一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること |
キャリアパス要件Ⅲにある「昇給の仕組み」とは、例えば、勤続年数や経験年数等に応じて昇給することや介護福祉士等の資格取得に応じて昇給する、実技試験や人事評価などの結果に基づいて昇給するなどが考えられます。
また、職場環境等要件とは、賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善等=福利厚生)の取り組みを実施する必要があります。しかし、研修の受講支援等、キャリアパス要件と重複する部分もありますので、比較的要件を満たしやすいと考えられます。
職員の待遇を良くしたいけれど全額会社負担では厳しい場合は、処遇改善加算の取得を検討するなど、要件を精査してみましょう。
処遇改善加算を取得するには、都道府県または地方自治体等に事前に届出を出さなければなりません。
では、このキャリアパス要件(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)と、職場環境等要件とはどういう要件なのでしょう。
処遇改善加算を算定できるサービス
処遇改善加算は、すべての障がい福祉サービスで算定できるわけではありません。
ほとんどの障がい福祉サービスは算定可能です。しかし、相談支援(特定・障がい児・地域相談支援(移行・定着))については処遇改善加算の対象外となっていますのでご注意ください。
また、サービスごとに加算される率も違いますので、ご自身のサービスがどれくらい加算されるのかをチェックしてみてください。
サービス | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ | 加算Ⅳ | 加算Ⅴ |
居宅介護 同行援護 |
30.3% | 22.1% | 12.3% | 12.3%×0.9 | 12.3%×0.8 |
重度訪介 | 19.2% | 14.0% | 7.8% | 7.8%×0.9 | 7.8%×0.8 |
行動援護 | 25.4% | 18.5% | 10.3% | 10.3%×0.9 | 10.3%×0.8 |
生活介護 | 4.2% | 3.1% | 1.7% | 1.7%×0.9 | 1.7%×0.8 |
就労移行 | 6.7% | 4.9% | 2.7% | 2.7%×0.9 | 2.7%×0.8 |
継続A型 | 5.4% | 4.0% | 2.2% | 2.2%×0.9 | 2.2%×0.8 |
継続B型 | 5.2% | 3.8% | 2.1% | 2.1%×0.9 | 2.1%×0.8 |
児童発達 | 7.6% | 5.6% | 3.1% | 3.1%×0.9 | 3.1%×0.8 |
放デイ | 8.1% | 5.9% | 3.3% | 3.3%×0.9 | 3.3%×0.8 |
*これ以外のサービスでも加算の算定が可能です。
処遇改善加算の申請手順
地域によって異なりますので、ここでは高知市の場合を説明します。
高知市の場合は「介護職員処遇改善加算計画書の提出につい」の説明や提出期限・申請用紙等が、
に掲載されますので、新年度前には必ずチェックをして下さい。
申請書の記入方法は、初めてだと理解出来ないので役所の方にお聞きした方が確実です。
提出期限がありますので早めに提出することをおすすめします。
本記事での感想・分析・結果はあくまで筆者個人のものであります。