知的障害について
知的障害とは
18歳までの発達期における知的発達の遅れによって、社会生活に困難が生じる状態であることを知的障害と言い、その判断基準は知能指数で測られる知的能力がIQ70以下であること、それによって社会生活への適応能力が制限されていることの2つです。
知的障害は症状の程度や年齢などにより、状態が大きく異なります。
原因は様々ありますが、ほとんどの場合、特別な原因はなく、たまたま知能レベルが低く生まれてしまったことが原因とされ、その多くは軽度知的障害であると診断されます。胎児期に母体が風疹ウィルスに感染したり、母体がアルコールや薬剤を服用したりなど妊娠中の出来事が原因だったり、仮死分娩で無酸素や低酸素状態になったことによる脳細胞の損傷、圧迫による脳損傷などの出生時の出来事が原因だったり、遺伝子が原因だったりすることもあり、その場合は重度知的障害と診断されることが多いです。
知的障害の程度別症状
知的障害は症状の程度によって軽度、中等度、重度、最重度の4段階に分類されます。年齢によって症状は異なるので、ここでは18歳以上の知的障害の症状を程度別にお話します。
軽度知的障害
自閉症という名称の字面から、「自ら閉じこもっている」、「心を閉ざしている」と大きな勘違いをされることも多いですが、全くそのようなことはありません。
相手の気持ちに気づきにくい、集団行動をとれない、友だちの中に入りにくいなどの対人関係での困難や、言葉だけでなく、身振りや表情などを含めたコミュニケーションの困難などが見られる特徴があります。
手をひらひらさせたり、上半身を前後に揺らすなどの行動的特徴があったり、活動や興味の範囲が狭く、変化に対する不安や抵抗が大きかったりするのも自閉症の特徴の1つです。
中度知的障害
学力は小学校卒業時程度にとどまっているが、簡単な読み書きや金銭の計算ならできるという場合が多いです。
社会的な決まりごとをある程度理解しながらも、暗黙の了解とされるようなことに対する理解は難しく、複雑な社会的な判断や意思決定、人生における重要な決断を行うような際には、やはり支援が必要になります。
支援や教育を受けていくことができれば、身の回りのことが自分でできるようになる人も多く、単純作業が行えるという特徴などから、職種や環境によっては自立して仕事をすることもできます。
重度知的障害
平仮名をどうにか読み書きできる程度で、学力的には書かれた言葉や数量、時間や金銭などの概念を理解することが困難です。日常会話は簡単な言葉であれば話せるし意味もわかります。自分の身の回りのことを行うには一生支援を必要とする人が多いですが、単純作業については中度知的障害者ほどではないですが、ある程度できるので支援の有り様によっては働くことも可能でしょう。
最重度知的障害
ジェスチャーを使ったコミュニケーションは、非常に限られた範囲であれば理解できることもありますが、会話はかなり困難です。
文字の読み書きも数の理解もほぼできませんし、作業能力もないことがほとんどです。
日常生活において自分の身の回りのことをするにも、誰かからの指示や支援を必要とすることが格段に多くなります。
まとめ
軽度知的障害者から重度知的障害者までは作業能力が見られるため、製造業で働いている人が多く見られます。また、昔だと農林水産業で働いている人もいましたし、最近ではクリーニングや清掃などのサービス業で働いている人もいます。
職種にかかわらず、知的障害者が働いている環境には、「単純反復作業がある」、「業務内容や勤務場所、人の変化などが少ない」、「勤務先の規模が小さい」といった3つの特徴があります。
知的障害者の持つ得意なこと、不得意なこと、こだわりを把握し、それに適した業務内容や業務環境で働くことが大切です。
本記事での感想・分析・結果はあくまで筆者個人のものであります。