就労移行支援事業所を開設するには
就労移行支援とは、おおむね2年のプログラムに基づき、生産活動やその他の活動を通じて、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練等を行うサービスです。
国のモデルでは、前期・中期・後期と3つのステップが考えられています。
期 | 期間 | 内容 |
前期 | 半年 | 基礎体力の向上や集中力・持続力の習得訓練 |
中期 | 半年 | 職場見学や一般企業での実習 |
後期 | 1年 | 就職活動やトライアル雇用 |
対象となる利用者は、一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じて、適性に合った職場への就労等が見込まれる65歳未満の障がい者となります。
企業等への就労を希望する方はもちろん、技術を習得し、在宅で就労・起業を希望する方も対象となります。
就労移行支援の指定要件は
就労移行支援事業所を開設するには、人員、設備基準等の要件を満たさなければなりません。それらの要件を満たしていないと事業所として指定を受けることができないからです。
その指定要件を順に見ていきたいと思います。
■就労移行支援の人員基準(高知県の場合)
まず、サービスの実施に必要な人員を配置する必要があります。
職種 | 要件 | 資格or実務経験 |
管理者 | 常勤1名 | 社会福祉法第19条各号のいずれかに該当する者、社会福祉事業に2年以上従事した者、企業を経営した経験を有する者、これらと同等以上の能力を有すると認められる者。 |
サービス管理責任者 | 利用者数が60人以下の場合は1人以上(1人以上は常勤とする)(*) | 障がい児・者等の直接支援・相談支援業務の実務経験5~10年、かつ、研修を受講していること(短縮特例あり) |
職業指導員及び生活指導員 | 職業指導員1人以上、生活支援員1人以上を含み、かつ、常勤換算で利用者数を6で割った数以上(1人以上は常勤とする) | なし |
就労支援員 |
常勤換算で利用者数を15で割った数以上(1人以上は常勤とする) | なし |
*管理者とサービス管理責任者は兼務できます。
就労移行支援の設備基準
用途 | 要件 |
訓練・作業室 | 訓練または作業に支障がない広さを有し、必要な機械器具等を備えていること。 |
相談室 | 間仕切り等を設けること。 |
多目的室 | 相談室との兼用が可能です。 |
洗面所・便所 | 利用者の特性に応じたものであること。 |
その他、運営に必要な設備。
※設備基準については、物件を決定した後で変更するということは難しいので、事前に要件をきちんと確認しておきます。
法人であること
就労移行支援を行うには、法人でなければなりません。
法人については、株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、医療法人、社会福祉法人、NPO法人など、どのような法人形態でも構いません。
すでに運営している法人でも申請を行うことはできます。しかし、事業目的に障害福祉サービスを行うことがわかる文言が明記されていない場合、事業目的の変更手続きが必要です。
※上記のように、さまざまな要件を満たさないと就労移行支援を行うことができませんので、詳しく記します。
就労移行支援手続きの流れは
手続きの流れ
なお、他の障害福祉サービスとは異なり、就労移行支援を行う場合は府県または市等との事前協議が必要になります。
就労移行支援事業所を勝手に開設しようとしても、地方自治体が許可を出さないと開設できません。事前に必ず開設を考えてる旨を相談しに行くべきです。
就労移行支援指定申請手続きの流れ(高知市の場合)
1.事前準備
法人設立または事業目的の変更。物件の選定など。
2.物件調査
使用予定の物件について要件を満たすかどうか管轄の役所等にて確認。
3.事前協議
事業所の所在地を管轄する役所との事前協議。
4.事業所の改修等
必要に応じて事業所の改修等(不要な場合があります)。
5.指定申請
事業所の写真等を撮り、申請書類を提出。
6.研修の受講・指定書の交付
原則として、管理者が研修を受講します。
7.就労移行支援事業開始
高知市内の事業所は、おおよそ上記のような流れですが、各都道府県では異なる部分があるのでご注意ください。
本記事での感想・分析・結果はあくまで筆者個人のものであります。