☆就労移行支援とは☆

就労「移行」支援と就労「継続」支援

就職したい、仕事をしたいという意欲はあっても、障害者の働く場は限られています。そこで、就職するための訓練と仕事の場を提供するために設けられているのが、「就職移行支援」と「就職継続支援」です。

障害者の方を対象にした就労支援制度

就労移行支援は、一般企業への就職が可能と見込まれる18~65歳未満の障害者を対象にした支援です。この支援の対象となる障害者で、就職を希望する人は、就労移行支援事業所で一定の訓練を受けたのちに、就職に取り組むことになります。

「移行」は訓練、「継続」は働く場

就労移行支援が、一般企業への就職を前提とした訓練サービスであるのに対して、継続支援は、一般企業への就職が困難とされる障害者を対象にしたもので、就労の場を提供する支援です。

また、単に働くだけでなく、仕事を通して能力の向上も図られています。

就労「継続」支援にはA型とB型がある

就労継続支援には、「就労支援A型」と「就労支援B型」の二種類があります。A型は雇用契約を結んで仕事を提供する形態です。

雇用契約を結ぶということは、行った仕事に対して給料が支払われるということです。また、社会保険への加入も義務付けられています。

B型は、雇用形態を結ばずに仕事を提供する形態です。ただし、行った仕事に対しては、少額ながら工賃が支払われます。

就労移行支援

就労移行支援は、将来、一般企業への就職を前提として、そのための知識と能力を訓練します。障害者の中で、一般企業への就職が可能だと見込まれる人が対象です。

就職のための訓練を行う

就労移行支援における支援の基本は、企業が求める能力・知識と障害者の能力・知識のギャップを埋めることにあります。障害者の能力に対応していくつかのプログラムが用意され、仕事に関する知識やスキルアップが行われます。

また、就職活動のサポートはもとより、就職後も長く働き続けられるよう職場への定着支援も行われています。

雇用契約はない

就労移行支援事業所は、一種の訓練機関です。ゆえに、雇用契約はありません。逆に年収などを基準にした下記のような利用料金を支払わなければなりません。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市区町村民税非課税世帯 0円
一般1 市区町村民課税世帯(所得16万円(注1)未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円
注1)収入が概ね600万円以下の世帯が対象となります。

賃金・工賃はない

就労移行支援は、一般の会社への就職を目指すことを前提とした支援です。支援の一環として行われる就労移行支援施設での作業は、あくまで訓練という位置付けですから、原則として賃金は支払われません。

賃金や工賃が支払われるのは、就労継続支援A型、就労継続支援B型の場合です。ただし、就労移行支援で職場実習などを行った際は工賃が支払われることがあります。

対象者

就労移行支援の対象となるのは、一般企業で雇用されることが可能と見込まれる障害者です。障害者というのは、身体障害、知的障害、精神障害の他に発達障害や難病の方も含まれます。また、障害者手帳の有無にかかわらず、医師の診断や自治体の判断などで「就職に困難が認められる」人は、利用することができます。

実際にどんなことをするのか

一例では、以下のような訓練が実施されています。

1) 就労支援⇒就職するまでの具体的な流れや、企業の探し方、ハローワーク(公共職業安定所)への登録、求人検索機の使用方法などの支援。
2) 同行支援⇒ハローワーク、面接、企業実習など、同行しサポートする。
3) 定着支援⇒就職後、企業への訪問など、仕事が続けられるようにサポートする。
4) 企業実習⇒訓練を通して得た知識を実践の場で試してみる。
5) 訓練⇒履歴書作成、面接や自己アピールの練習、SST、Word、Excelの訓練など。
各事業所では障害者の適正と能力に応じたいくつかのプログラムを用意されています。

 

比較表

就労支援移行と就労継続A型・B型の要件や雇用関係、賃金などをまとめて、表にしました。参考にしてください。

移行支援 継続支援A型 継続支援B型
雇用の有無 雇用関係はない 雇用関係 雇用関係はない
賃金、工賃の形式 年収を基準に通所サービス料金を支払う 賃金が支払われる 工賃(手間賃)が支払われる
月の平均収入 平均68,691円(厚労省・平成24年) 平均14,190円(厚労省・平成24年)
支援を受ける、対象者の条件 18歳~65歳の障害者 18歳から65歳の障害者 年齢制限なし
利用期間 2年 定めなし 定めなし

 

どのコースを選ぶのか

一般企業への就職が可能である人を対象としたのが就労移行支援です。数か月から最長24か月、就労移行支援事業所で訓練を受けたのちに、就職活動(面接)に挑戦します。

また、就労移行支援が困難となった場合は、就労継続A型もしくはB型の支援を受けることになります。

一般企業への就職が困難だとされる人を対象としたのが、就労継続支援A型です。

事業所と雇用契約を結び、賃金を受け取って、仕事をします。この間、知識や能力を身に着けて、一般就労への移行が可能となれば、一般就労への移行することができます。

就労継続A型の作業が困難な障害者を対象としたのが就労継続B型です。就労支援事業所で、内職系の軽作業を行います。

自分の現状に合った支援を選べる

障害者の障害の程度に応じて、様々な就労コースが用意されています。大切なことは、無理をせず自分の現状に合ったコースを選ぶこと。それによって、就労の安定につながり、ひいては自立への道筋も見えてきます。

 

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本記事での感想・分析・結果はあくまで筆者個人のものであります。

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